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『口が大きく開かない』ー これって顎関節症? ー
目次
『口が大きく開かない』 - 顎関節症について –
顎関節症は、アゴの関節やその周囲の筋肉などの不具合によって起こる病気です。
顎関節症では、『口が大きく開かない』という症状を示すことが多くあります。
顎関節症の代表的な症状は
- アゴの関節や顔の周囲の筋肉の痛み
- 口を大きく開くことができない
- 口を開け閉めしたときに音がなる
といったものです。
では、口が大きく開かない = 顎関節症 と考えて良いのでしょうか?
実はそういうわけではありません。
口が大きくあかない、という症状を示す病気は、顎関節症以外にもたくさんあります。
今回は、顎関節症と似た症状を示す『筋突起過形成症(きんとっきかけいせいしょう)』という病気についてお話をしたいと思います。
顎関節症については下記のブログにありますので、ご参照ください。
- 顎関節症(がくかんせつしょう)とは - 専門医による顎関節症治療 -(詳細はこちら)
- 顎関節症(がくがんせつしょう)の治療 - 専門医による顎関節症治療- (詳細はこちら)
- 『朝起きたときに顎が痛い』、『朝起きたら口が大きく開かない』(詳細はこちら)
- 口を大きく開けることがつらい? - 顎関節症 筋肉の痛みの話- (詳細はこちら)
- アゴを動かすと音がなる - 顎関節症の話- (詳細はこちら)
筋突起過形成症と顎関節症
顎関節症と鑑別が必要な病気
2023年4月に日本顎関節学会雑誌という医学雑誌に『筋突起過形成症の臨床的特徴と鑑別診断』というタイトルで、私(副院長)の論文が掲載されました。
この論文は学会からの依頼を受けて、これまでの国内外での筋突起過形成症に関する医学研究や症例報告をもとに、その特徴や、似た症状を示す病気との見分け方をまとめたもので、主に歯科医師などの医療従事者向けの内容です。
今回お話しする筋突起過形成症は、『口が大きく開かない』という症状を示す病気であり、この点において顎関節症と良く似ています。
筋突起過形成症とは
筋突起過形成症は下アゴの骨の一部(筋突起)が大きく育つことで(過形成)、口を開ける際に邪魔になってしまい、大きく口を開くことができなくなる病気です。
↓↓↓こちらは口を大きく開けたときの通常の下アゴの動き方です。下アゴの骨が大きく下に引かれ、やや前にスライドしながら口が開きます。↓↓↓
↓↓↓こちらは筋突起過形成症の状態です。赤い部分が、大きく育った筋突起です。
口を大きく開けようとしたときに、周りの骨にぶつかってしまい、それ以上大きく開くことができません。↓↓↓
筋突起が大きく育ってしまう原因はよくわかっていませんが、生まれつきこのような病気を持っていることはまれで、ほとんどは後天的に発症します。
特に20歳代の男性が多いことから、ホルモンの分泌異常との関連が示唆されています。
大きく開けようとしても指1本程度しか開かないような、重度の開口障害を示すこともあります。
しかし、骨が少しずつ成長することで発症するため、口が大きく開かない症状は、ある日突然起こるのではなく、ゆっくり少しずつ進行することが多いです。
そのため、自覚症状が出にくいことが特徴で、患者さん自身が口が大きく開かないことに気づいていないこともあります。
歯科医院での治療の際に口が大きく開かないことを指摘され、病気の存在に気づくことや、ハンバーガーなど、大きく口を開けて食事をしようとした際に気づくことがあるといわれています。
口を開けたりアゴを動かしたりするときに痛みがあることは少なく、アゴを動かしたときに音が鳴ることも少ないことが報告されています
良性の病気なので、専門的な病院の口腔外科などで治療(主に外科治療)を行うことで改善する場合がほとんどです。
発症頻度は低いものの、顎関節症と見分けることが難しいため、顎関節症の治療を受けている方の一部には、筋突起過形成症の方が含まれている可能性も考えられています。
『口が大きく開かない』、『以前よりも開かなくなってきた』といった症状がある方は自己判断で顎関節症と考えず、歯科医院にご相談ください。
当院での顎関節症の治療詳細はこちら
日本顎関節学会認定の全国の歯科顎関節症専門医の一覧はこちら。
日本顎関節学会認定 歯科顎関節症専門医の院長、副院長の紹介はこちら
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