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副院長ブログ

口を大きく開けることがつらい? —顎関節症  筋肉の痛みの話—

当院では日本顎関節学会認定、歯科顎関節症専門医による顎関節症治療を行っています。

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前回に引き続いて、顎関節症のお話をしたいと思います。

顎関節症の患者さんから良く聞かれる言葉が、『口を大きく開けるのがつらい』というものです。

様々な原因や状態からこのような症状が発現しますが、今日は特に筋肉の痛みについてお話ししたいと思います。

まずは、顎関節症の概要からお話します。

 

顎関節症の分類

まず顎関節症は、

  • I型:咀嚼筋痛障害 アゴや顔の周りの筋肉の痛み
  • II型:顎関節痛障害 アゴの関節(耳の少し前)の痛み
  • III型:顎関節円板障害 アゴの関節の中にあるクッションの位置異常
  • IV型:変形性顎関節症 アゴの関節を構成する骨の変形

 

に分類されます。

 

アゴの関節の周りの靱帯や関節円板と呼ばれる関節の中の軟かい組織に障害が起きていることもあれば、アゴや関節の周りの筋肉や、関節を構成する骨に障害が起きている場合もあり、これらを包括して顎関節症と呼びます。

 

そのため、ひとえに顎関節症といっても、患者さんみなさんが同じ部位に不具合が起きているわけではありません。

 

そして、『口を大きく開けることがつらい』という症状は、IからIV型のどのタイプの顎関節症でも起こりえます。

 

また、顎関節症は、似たような症状を示す他の病気がたくさんあり、鑑別が非常に重要です。

『口を大きく開けることがつらい = 顎関節症』というわけではありませんので、ご注意ください。

 

顎関節症I型(アゴや顔の周りの筋肉の痛み )

さて今回はI型:咀嚼筋痛障害(アゴや顔の周りの筋肉の痛み)についてお話したいと思います。

 

咀嚼筋(そしゃくきん)とは、ものを噛むときに使う筋肉の総称です。

こめかみや頬などの顔や頭の周りの筋肉や、口の中の筋肉があります。

下の図の青い範囲で囲まれた部分に、咀嚼筋のうちの一つである、側頭筋、咬筋があります。

顎関節症のI型ではこの筋肉に症状が出ます。

 

何もしていなくても痛みがあったり、口を開ける、ものを噛むなどアゴを動かしたときに咀痛みがあったり、痛みによってアゴを動かせないといった症状が代表的です。

 

なぜこのような症状が出るのか、実はまだはっきり原因はわかっていません。

指で、通常なら痛くないような強さで筋肉を押した時に痛みを感じることから、筋肉が痛みを感じる閾値(いきち)が下がってしまっている(=刺激に対して敏感になっている)ことが推測されます。

慢性的な筋肉の疲労などが起きているのかもしれません。

 

I型に限らず、顎関節症では、患者さんの生活習慣が症状の発症や悪化に関わっていることがあるため、症状の改善を目指すためには、まず顎関節症のリスクとなる習慣を是正していくことが大切です。

 

例えば、硬いものを食べることが多い、楽器の演奏、日中の悪い姿勢、長時間のデスクワーク、編み物や料理中のくいしばりなど、生活習慣の中にアゴの関節に負担がかかり、筋肉を疲労させるような習慣がこれにあたります。

 

このほかに、理学療法(マッサージや、ストレッチ、患部を温める)、薬物療法、アプライアンス療法(いわゆるマウスピース)などが基本的な治療になります。

 

歯を削る、歯列矯正治療を行う、かぶせ物を作り直す、などの不可逆的(もとに戻せない)な治療を最初に行うことは少ないです。

 

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