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『朝起きたときに顎が痛い』、『朝起きたら口が大きく開かない』
当院では、顎関節症に対して、顎関節症専門医による専門的な治療を行っています。(院長、副院長の紹介はこちら)
今回は、アゴの不具合に関して、特にご相談を受けることが多い、
『朝起きた時に顎が痛い。』、『朝起きたら口が開かなくなっていた。』といった症状についてお話ししたいと思います。
顎関節症の典型的な症状
顎関節症には、様々なタイプがあり、人によって状態や症状が異なります。
顎関節症の3大症状は以下になります。
- アゴやアゴの周りの筋肉の痛み
- アゴを動かした時に鳴る音
- 口が大きく開かない、開きにくいなどのアゴの動きの不具合
※ただし、これらの症状があるからといって顎関節症とは限りません。
似た症状を示す病気は他にもあるため、歯科医師による適切な診断が必要です。
『朝起きた時に顎が痛い。』
『朝起きたら口が開かなくなっていた。』
さて今回の本題です。
『朝起きた時に顎の痛みがある、口が開きにくい』といった症状はよくご相談を受けます。
上記に述べたように、適切な診察、検査により他の病気を除外した結果、顎関節症と診断します。
顎関節症である場合、典型的な経過としては、
『それまで口を開け閉めしたり、左右に顎を動かした時に、カクンなどと音がしていたのが、朝起きたら音が消えていて、口が大きく開かなくなっていた』
というものです。
この場合は、関節円板と呼ばれるアゴの関節の中にあるクッションのような柔らかい組織が寝ている間にズレてしまい、アゴを動かそうとした時に、邪魔をしていることが多いです。
↓ 黄色いクッション(関節円板)の位置がズレてしまい、顎の骨が動くことを邪魔している状態。 ↓
下あごを青い矢印の方に動かそうとしても、黄色いクッションが邪魔をして、それ以上動かせません。
起床時にこのような症状が出る原因として、
- 睡眠中の姿勢
- 歯ぎしり、食いしばりなどの無意識のクセ
- 枕の高さが合っていない
- 睡眠の質の問題
など、様々なことが考えられます。
関節円板がずれてしまった状態(この場合、非復位性顎関節円板障害といいます)と診断した場合には、基本的には、かみ合わせの治療や、外科手術などの身体への負担が大きい治療は行わず、保存的な治療を行います。
保存的な治療は、
- 日常生活でのアゴに負担がかかるクセの是正(かたいものを咬む、片側でばかり物を咬むなど)
- 消炎鎮痛薬の服用
- アゴを動かすストレッチ
- ずれてしまった関節円板の正しい位置への整復
などが挙げられます。(他にもたくさんあります。)
ほとんどの方は、保存的な治療で症状は改善します。
次の項では、非復位性顎関節円板障害についての詳細をご説明します。
顎関節のクッションのずれ、ひっかかりとは
下のイラストの、左が口を閉じているときで、右が口を大きく開けたときです。
これは顎関節に問題がなく、大きく口を開けることができる状態です(健康な状態)。
この時、アゴの関節の中では、以下のような動きが起きています。
↓↓ 左の図が口を閉じているときです。アゴの骨の上に黄色いクッション(関節円板)がのっていることがわかります。
↓↓ 右の図は、大きく口を開けたときです。アゴの骨が矢印の方向に動くとともに、黄色いクッションも動いていることがわかります。このクッションがあるおかげで骨同士がぶつかることなく、スムーズな動きを行うことができます。
一方、顎関節症(非復位性顎関節円板障害)の図を下に示します。
黄色いクッションの位置がずれて、下アゴが矢印の方向に動くことを邪魔しています。
治療によりクッションを元の位置に戻せる場合もありますが、戻らない場合もあります。
元の位置に戻らなくても、治療によりアゴの痛みや、動きは改善可能なことがほとんどです。
しばらく何もせずに様子を見ているだけでも改善する場合もありますが、患者さん自身が改善したと感じていても、実際には大きく口を開けると痛みがあり、
発症前の健康な状態までは改善しておらず、普段は痛みのない範囲でだけ顎を動かしている、ということが少なくありません。
そのため、しっかりと治しきることが大切です。
お困りの方は、ぜひご相談ください。
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