顎関節症 TEMPOROMANDIBULAR JOINT DISORDER

顎関節症とは

顎関節症は顎の骨や関節を支える筋肉、靭帯に問題が起きたり、関節の中にある関節円板という軟らかいクッションのずれや穿孔(穴が開く)などから生じる疾患です。顎を動かしたときの痛みや音、大きく口を開けられないなどの症状が出ることで、日常生活に支障をきたすことがあります。

こんな症状で
お悩みではありませんか?

  • 食事中や、あくびのときなどに大きな口が開けにくい
  • 物を噛んだ時に顎が痛い
  • 口を開けようとすると顎がひっかかる感じがする
  • 急に口が開かなくなり、開けようとすると顎が痛む
  • 口を開け閉めするときにカクンと音がする
  • 奥歯や前歯で物が噛みにくくなった
  • 口を開けた後、顎が引っ掛かり閉じにくい

当院は歯科顎関節症専門医が
治療を行います

当院では、日本顎関節学会認定の歯科顎関節症専門医が治療を行います。
大学病院で培った技術を活かし、また学会のガイドラインや世界的な標準治療に沿った治療を行い、症状の改善を目指します。

専門医 和気 創

顎関節症の原因

顎関節症の発症は、骨格の問題や、悪いかみ合わせなどの解剖学的な要因と、長時間のパソコン作業、片側でばかり物を噛む、歯ぎしり、食いしばり、管楽器の演奏や合唱、頬杖などの顎に負担がかかる生活習慣が積み重なり、組織の耐久度を超えたときに起こると考えられています。つまり、単一の要因を特定できることは少なく、さまざまな要因により複合的に発症すると考えられます。

当院で行う
顎関節症治療の例

運動療法

一般的に身体の一部に痛みがある場合、安静にして様子を見ることが多いと思います。しかし、顎関節症の場合は顎を動かさずにいることでかえって関節の動きが悪くなったり、いつまでも痛みが残ったりする場合があります。急性期の鋭く強い痛みがある時期を除いて、慢性的な鈍い痛みがある場合や顎の動きが悪い場合などでは、運動療法を行うことで顎関節の可動域の増加と、筋の伸張性の改善、痛みの緩和を図ります。
当院では、患者様の症状や状態に応じて様々な運動療法を行っています。

アプライアンス療法

就寝時の食いしばりや歯ぎしりが疑われる場合や顎の周りの筋肉に痛みがある場合などでは、オーラルアプライアンス(マウスピース)を作製し、使用して頂きます。オーラルアプライアンス(マウスピース)を装着することで、顎関節にかかる過度な力を軽減し、筋肉の異常な緊張を緩和します。

ホームケア

顎関節症の発症や症状の悪化は、生活習慣の中に要因があることが多く、リスク因子(いつも片側で物を噛んでいる、高い枕を使っている、頬杖をつくなど)を見出し、排除することが症状の改善のために重要になります。また、筋のマッサージ、罨法(痛みがある部位を温める、冷やすなど)などもホームケアの一つです。

かみ合わせの治療

現在、顎関節症の改善のためにかみ合わせを調整したり、歯列矯正をしたりすることはほとんどありません。(顎関節症の発症や悪化に関連があることが疑われる明らかなかみ合わせの異常や、かぶせ物、詰め物などの不具合がある場合は治療を行うこともあります。)
顎関節症は、顎の関節や骨を支える筋肉の異常や、関節の中にあるクッション(関節円板)の位置のズレや変形、顎の骨の変形や吸収などによりかみ合わせが変化することがあります。その場合、かみ合わせの違和感や咬みにくさを自覚することがあります。例えば、『以前より前歯がかみ合わなくなってきた』や、『奥歯でものがかみにくくなってきた』などです。
このような状態は、咀嚼や発音、審美に影響を及ぼす場合があります。そのため、顎関節、かみ合わせの状態を慎重に診断した後に、他の治療と合わせてかみ合わせの治療(かぶせ物の調整や作製、歯列矯正など)を行い、不具合の改善を図ります。

※ 顎関節症は、似た症状を示す他の疾患との鑑別を行うことが重要です。また、患者様一人ひとりの症状や状態に応じて治療方法が異なります。
自己判断で上記の対応を行うことは症状の悪化につながることもあるため、まずは歯科にご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることを繰り返す病気です。良質な睡眠がとれなくなり、睡眠中に目が覚めたり、日中の眠気や起床時のだるさが生じたりします。また、心疾患や高血圧などのリスクが高まることもわかっています。
当院では、睡眠時無呼吸症候群の治療方法の一つである口腔内装置の作製を行っています。
医科との連携のうえで、口腔内装置の適応であれば健康保険で作製することができます。
下顎を前方に出した状態の口腔内装置を作り、睡眠中に装着していただくことで、気道が広がり呼吸が楽になる効果があります。
しかし、装着後、まれに顎関節の痛みやかみ合わせの変化などが生じることが報告されており、定期的に経過観察をしていくことが大切です。
いびきや夜間の覚醒、日中の疲労感や眠気でお困りの方は、ご相談ください。

よくある質問

口を開け閉めしたときにアゴがカクンカクンなります。これは顎関節症でしょうか?
顎関節症は、①アゴの関節や顔、頭の周りの筋肉などに生じる痛み、②口が大きく開かない、③口の開け閉めなど、アゴを動かした時に音がなる、などの症状を示すことが特徴です。
顎関節症では、関節の中のクッションのような組織(関節円板)がズレていて、アゴを動かした時にクッションが動く音がすることや、骨と骨がこすれて音が発生することがあります。
ただし、顎関節症の他にも同じような症状が出る病気はありますので、自己判断はなるべく避けるようにしましょう。
口が大きく開かず、アゴの痛みがあります。これは顎関節症でしょうか? 治るのでしょうか?
上述の通り、顎関節症ではアゴの痛みや口が大きく開かないといった症状が出ることがあります。ただし、顎関節症以外でも顎関節症と似た症状を示す疾患もありますので、きちんとした診察、診断が必要になります。
もし顎関節症が原因で起きている症状であれば、治療によって改善することが多いです。
歯科医院で顎関節症があると言われたことがあります。悪いかみ合わせや歯ならびが原因でしょうか? 矯正治療をした方がよいのでしょうか?
現在、顎関節症が発症する要因は、何か一つの要因によって起こるのではなく、いくつかの要因が積み重なって、個人の許容できる範囲を超えたときに発症することが考えられています。
つまり、かみ合わせが悪いことだけによって顎関節症が生じるとは限りません。
そのため、日本顎関節学会では、顎関節症の基本的な治療において、『歯を削る』、『歯列矯正などで歯ならびを改善する』などの不可逆的な治療(元に戻すことができない治療)はなるべく避けることを推奨しています。
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