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顎関節症(がくかんせつしょう)とは ― 専門医による顎関節症治療 ―
当院では日本顎関節学会認定、歯科顎関節症専門医による顎関節症治療を行っています。
今回は、顎関節症がどのような病気なのか、お話ししたいと思います。
顎関節症ってどんな病気?
みなさまは、『顎関節症』と聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
顎関節症は、以下の3つの症状を示すことが多い病気です。
①アゴの痛み・・・特にアゴを動かしたときのアゴや周囲の筋肉の痛み。
②アゴの音・・・口を開け閉めする時など、アゴを動かしたときに音がする。
③アゴの動きの不具合・・・口が大きく開かない、開きにくい、閉じにくいなど。
①~③のうち、どれか1つの症状がある場合や、複数の症状がある場合もあります。
例えば、『アゴを動かすとカクカク音がして、痛みがある。』のような訴えを聞くことがよくあります。
平成28年の歯科疾患実態調査(厚生労働省)のデータを見ると、顎関節の音がする方や、痛みがある方の割合がとても高いことが確認できます。(データはこちらのP33,34)
このデータから、多くの方が顎関節の不調を感じていることが予測されており、顎関節症は、歯科において、『歯周病』、『むし歯』に次ぐ、第3の疾患と呼ばれることもあります。
それでは一体なぜ、このような症状が出るのでしょうか?
顎関節症は、アゴの関節を構成する骨や軟骨、関節内にある顎関節円板と呼ばれるクッション、関節内や関節包むやわらかい組織などに問題がある場合や、口やアゴ、関節の周りの筋肉に問題がある場合があると考えられています。
これらの組織に障害が出て、顎関節症を発症してしまう原因としては、
①生まれつきのアゴの関節や周囲の筋肉の弱さ
②悪いかみ合わせ
③外傷、打撲などの物理的な力
④精神的な緊張、不安
⑤日常的なクセや習慣(頬杖をつく、硬いものが好きである、管楽器を演奏する、パソコンの作業時間が長い)など
などが挙げられます。これらは顎関節症の原因となりうる代表的な因子です。
(実際にはもっとたくさん因子がありますが、一部をご紹介しています。)
また、発症の原因は一つ、というよりは多くの因子が積み重なり、発症すると考えられています。
そのため、患者さま一人ひとりで、発症の原因は異なることが推測されています。
アゴが痛いのは顎関節症?
それでは『アゴが痛む』、『口が大きく開かない』、『アゴの音がする』といった症状があれば、顎関節症と考えて良いのでしょうか?
・・・実はそういうわけではありません。
顎関節症と似たような症状を示す病気はたくさんあります。
日本顎関節学会は、顎関節症と似た症状を示すものとして①頭蓋内の病気、②口の中、耳、鼻、ノドなどのアゴと近い臓器の病気、③筋、神経系の病気、④アゴの関節や筋肉の先天性の病気や腫瘍性の病気など、数多くの病気を挙げています。
(実際にはもっとたくさんありますが、代表的なものを挙げています。)
そのため、顎関節症の治療を行ううえでは、まず正確な診断を行うことがとても大切です。
(顎関節症と似た病気や顎関節症の診断に関する院長、副院長の論文、著作物はこちら)