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アゴを動かすと音がなる ー 顎関節症の話 ー
当院では、日本顎関節学会認定、歯科顎関節症専門医による顎関節症治療を行っています。
(院長、副院長のプロフィールはこちら)
今回も、顎関節症のお話をしたいと思います。
はじめに
これまで、顎関節症がどのような病気なのかお話をしました。(こちらを参照ください。)
また、患者さんから良くご相談いただく症状として、
などについて、その原因が顎関節症である場合、どのようなことが起きているのかをお話しをしてきました。
今回も良くご相談いただく『アゴを動かすと音がなる』、といった症状についてお話ししたいと思います。
毎回お話ししていることですが、まず大前提として、
『アゴを動かすと音がなる=顎関節症』 とはならないことにご留意ください。
顎関節症と似た症状を示す病気はたくさんあり、顎関節症はさまざまな病気との鑑別が必要です。
適切な診断を行うためには問診、診察、検査が欠かせません。
それでは、顎関節症の患者さんにおいて、よくご相談いただく、『アゴを動かすと音がなる』という症状は、なぜ起こるのでしょうか。
以下の2通りが代表的な状態です。
関節の中のクッションのズレ
これは、顎関節症のなかで復位性顎関節円板障害と呼ばれる状態です。
骨と骨の間に挟まっていたはずの関節円板と呼ばれるクッションのような役割を果たす軟らかい組織が、何らかの原因で位置がズレてしまい、口を開けたり閉じたりするときに、骨の間にすべりこむ音がなります。
『コクッ』という感じや、『カクン』、『ポキッ』という感じの音であることが多いです。
アゴの痛みを伴う場合もあれば、痛みがない場合もあります。
以下が口を開けたときの正常なアゴの動き方と、そのときの関節内部の状態です。
口を閉じているときも開けたときも、蝶ネクタイのような形をしたクッション(関節円板)が骨同士の間に介在しています。
次にクッションがズレてしまった場合を示します。(復位性顎関節円板障害)
復位性顎関節円板障害は、小学生や中学・高校生などの若年者でも発症することがあります。
治療によりズレてしまったクッションを元に戻すことができる場合もあれば、元の位置には戻らない場合もあります。クッションが元の位置に戻らない場合でも、痛みがなく、アゴを十分に動かすことができるようになることを目標に治療を行うことで、日常生活での支障や苦痛を改善します。
アゴの関節を作る骨の変形
これは、顎関節症のなかで変形性顎関節症と呼ばれる状態です。
関節を作っている骨が変形してしまい、アゴを開け閉めして動かした時などに、骨同士がこすれる摩擦音がなります。『ジャリジャリ』、『ミシミシ』などの音のことが多いです。
①のときと同様に、アゴの痛みを伴う場合もあれば、痛みがない場合もあります。
X線画像検査やCT検査では関節を作る骨の変形が認められます。骨の変形が進行すると、かみ合わせの変化が起きてくることもあるため、専門的な治療が必要になる場合もあります。
以上が、顎関節症における『アゴを動かすと音がなる』場合に起きている典型的な病態です。
参考になれば幸いです。
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