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顎関節症による噛み合わせ(かみあわせ)の変化について
当院では、日本顎関節学会認定、歯科顎関節症専門医による顎関節症治療を行っています。
(院長、副院長のプロフィールはこちら)
今回は、顎関節症による噛み合わせ(かみあわせ)の変化についてお話ししたいと思います。
目次
顎関節症で噛み合わせ(かみあわせ)の変化は起きるのか?
これまで何度かお話ししてきましたが、顎関節症は以下のような症状を示すことが多い病気です。
- 『口を開けたり、閉じたり、ものを噛んだりするときなどに顎が痛い。』
- 『口を開けたり、閉じたり、顎を動かしたりすると顎の音がなる。』
- 『口が大きく開かない。』
顎関節症の患者様は、これらの症状のいずれか、もしくは複数の症状でお悩みの方が多いです。
一般的に、『顎関節症』という病気のイメージは、『顎が痛い』といったものではないかと思います。
では、顎関節症が原因で噛み合わせ(かみあわせ)が変化することがあるかというと、噛み合わせ(かみあわせ)が変化することはあります。
実際に、上述の症状が現在(もしくは過去に)あり、さらに『噛み合わせが変わってきた』と患者様からご相談を頂くことがあります。
なぜ顎関節症で噛み合わせ(かみあわせ)が変化するのか。
顎関節症は、簡単に言うと顎や頭のまわりの筋肉、顎の骨、関節をつくる靱帯や関節円板とよばれるクッションなどの不具合により起こる病気です。
つまり、顎関節症の患者様は、一人一人問題が起きている部分が異なります。
そのため、治療にあたって、診察や画像検査を行い、顎関節症のタイプ(型)を診断します。
- I型:顎や頭の周りの筋肉の障害
- II型:顎の関節内部や周囲の軟らかい組織の障害
- III型:顎の関節の中のクッション(関節円板)の障害
- IV型:顎の骨の変形などの障害
実は、これらの型の中で、どの型でも噛み合わせ(かみあわせ)の変化が生じる可能性があります。
それぞれ原因として、
- I型:筋肉が硬くなってしまい、のびにくくなってしまった状態
- II型;顎の関節の炎症により関節内に体液が貯まってしまった状態。
- III型:顎の関節の中のクッション(関節円板)がズレたことによって下あごの位置に変化が生じた状態
- IV:顎の骨に変形が起きて下あごの位置に変化が生じた状態
などが代表的です。(原因となる病態はこれ以外にもあり、多岐にわたります。)
具体的な噛み合わせ(かみあわせ)の変化の症状
顎関節症よる噛み合わせ(かみあわせ)の変化や自覚症状は、具体的には以下のようなことが多いです。
- 前歯がかみあわなくなってきた。
- 前歯でものが噛みづらい。
- 左右両側、あるいは左右どちらかの奥歯がかみあわなくなってきた。
- 左右両側、あるいは左右どちらかの奥歯でものが噛みづらい。
一時的な炎症などにより生じている場合は、経過をみていくと自然に軽快する場合もありますが、治療を行わないと改善しない場合もあります。
治療は歯やかぶせ物の治療、顎のストレッチなどのリハビリ、矯正治療、外科的治療など、状態に応じて様々あり、顎関節症や噛み合わせ(かみあわせ)の状態を適切に診断し、ご相談のうえで最適な治療法を選択して頂きます。
噛み合わせ(かみあわせ)が変化してきた = 顎関節症 ではない。
最後に、気をつけないといけないことがあります。
顎関節症で、噛み合わせ(かみあわせ)の変化が起きることがありますが、
噛み合わせ(かみあわせ)が変化してきたからといって『顎関節症』と診断できるわけではありません。
顎関節症以外にも噛み合わせ(かみあわせ)を変化させる病気は多くあります。
例えば、顎関節の感染や、良性腫瘍などのできもの、交通事故などの外傷の後に起こる骨の変形、虫歯や歯周病など顎関節以外に原因がある場合などです。
そのため、噛み合わせ(かみあわせ)が変化してきた、ものがかみづらくなってきたとお悩みの方は、自己判断せずに、専門機関にご相談ください。
当院で行っている顎関節症治療についてはこちら。