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小児歯科での虫歯予防 - フッ化物(フッ素)のはなし –
前回のブログでは、乳歯の虫歯予防のとくにおやつや甘い物に関してお話ししました。(こちら)
今回は、フッ化物による虫歯予防についてお話ししたいと思います。
目次
フッ化物とは
よく『歯医者でフッ素を塗る』と言いますが、厳密にはフッ化物というフッ素元素が陰イオンの状態にあるものを使用します。
フッ素は土壌や海中、川の水など、自然界に広く存在している物質です。
また、野菜や肉、海産物、お茶、飲料水、ビールなどの飲食物にも含まれています。
そして、人間の身体の中にも存在しています。
フッ化物の歯に対する働き
フッ化物には以下のような虫歯予防の効果があります。
歯を硬くする。
虫歯は虫歯菌が糖を利用して作った酸によって歯が溶ける病気です。
つまり、歯が硬くなることで細菌が作った酸に対して抵抗性が増し、歯が溶けにくくなります。
初期の虫歯を再石灰化する。
初期脱灰といって、歯の表面が白く濁った初期虫歯の状態では、歯の表面が溶け始めています。このような歯の表面にフッ化物を塗布すると、溶けた部分が再び硬くなります。
つまり、初期の虫歯でも、削らないで進行を抑える、または治すことが出来る可能性があります。
虫歯菌の活動を抑える。
虫歯菌がもつ酵素の働きを阻害して、酸の産生を低下させる働きがあります。
フッ化物による虫歯予防
フッ化物を用いた虫歯予防には、全身にフッ化物を取り込む方法と、局所(口の中)で用いる方法があります。
全身的応用法
- 水道水などに適切な濃度のフッ化物を添加する(水道水フロリデーション)
- フッ化物添加牛乳、食塩の使用
- フッ化物錠剤の服用
これらは歯の表面に作用して虫歯予防効果を発揮することや、まだ生えていない
歯を強化する働きがあることがわかっています。
しかし、全身的応用方法は、海外では活発に行っている国が多いものの、本邦では実施されていません。
局所的応用法
こちらが本法で広く用いられているフッ化物の利用方法です。
お口の中で歯に直接フッ化物を作用させます。
局所的応用法の代表的なものには以下があります。
フッ化物歯面塗布
歯科医院で、綿棒や専用のトレー、歯ブラシなどを用いて、フッ化物を歯の表面に塗布します。
年齢ごとに適切な濃度のフッ化物を塗布するので、0歳から行うことができます。
また、年に2回以上、継続して行うことで虫歯予防効果が高まることがわかっています。
フッ化物洗口
一般的に、歯科医師による指導のもと、歯科医院でフッ化物洗口剤を処方します。
ご自宅で、毎日ぶくぶくうがいを行います。
うがいができる4歳以降が対象になります。
また、幼稚園や小学校、中学校などで集団フッ化物洗口をおこなっている施設もあります。
フッ化物洗口は高い虫歯予防効果が認められていて、特に第一大臼歯(6~7歳頃生えてくる大人の奥歯)が生えてきた時期から開始することが推奨されています。
フッ化物含有の歯みがき粉の使用
日常的にフッ化物が含まれた歯みがき粉を使用することで、高い虫歯予防効果を示します。
子どもの年齢に応じて適切なフッ化物濃度や、使用量が異なるので、こちらをご参照ください。
まとめ
フッ化物を正しく活用して、虫歯の予防を行いましょう。
特に小さなお子さまは、年齢によってフッ化物の使い方や量などが異なります。
かかりつけの歯科医院をもち、適切なフッ化物の使用方法を知って、虫歯予防を行いましょう。
当院での虫歯予防、予防歯科についてはこちら
副院長は専門学校で虫歯の原因や予防に関する講義を行っています。副院長のご紹介はこちら。