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こどもの歯垢の染め出しと口腔機能発達不全症
歯垢(プラーク)の染め出しの重要性
今月は、地域の保育園(年長組)の園児に対して、お口の中の歯垢の染め出しと、歯みがき練習を行いました。
歯垢(プラーク)は、食べかすではなく、細菌と細菌が出した代謝物のかたまりです。
食事やおやつなどから摂取した糖質をもとに、歯垢の中にいるむし歯菌が酸を作り出すことで歯が溶けてむし歯ができます。
つまり、むし歯にならないようにするためには歯みがきをして歯垢をしっかり落とさなくてはいけません。
園児たちは、自分の身体のことだからこそ興味がわくのか、はたまたピンク色に染め出された歯垢が歯みがきで落ちていくことが楽しいのか、鏡を持って、一生懸命歯磨きをしていました。園児全員がすごく熱心に歯みがきをしてくれて、その集中力は想像以上でした。
まだまだ保護者の方の仕上が磨きが必要な年齢とはいえ、自分で歯を磨く習慣をつけることや、何のために歯磨きをしているのかを理解するために、とても意義がある時間でした。
このような試みが出来るのも、子どものためを思う熱心な園の先生方がいるおかげです。
保育園での講演会
また、別の園では、保護者の方への子どものむし歯やお口のお話に関する講演会を行いました。
①歯と健康の関わり
②歯周病とむし歯
③口腔機能発達不全症
などについてお話をしました。
講演を終えた後は、10人以上の方からご質問を頂き、保護者の方々が、お子さまのお口の中の状態に対して大きな関心をもっていることを実感しました。
講演会では、園の先生方から、『最近は、食べ物をうまく食べられない子や、おしゃべりが舌足らずで、なかなか上達しない子がいる。なんでなの?』とご相談を受けていましたので、『口腔機能発達不全症』のお話をしました。
口腔機能発達不全症とは
口腔機能発達不全症は、『食べる』、『話す』、『飲み込む』やそのほかの機能が十分に発達しておらず、専門的な関与が必要な状態を指します。
むし歯や歯並び、歯の生える時期の異常など、歯が原因で起きていることもありますが、舌を出すクセや、口呼吸、扁桃肥大、舌小帯という舌の裏のすじのつきかたの異常などが原因のこともあり、歯だけでなく口腔やその周囲の組織の異常も確認が必要になります。
特に口腔機能発達不全症を疑うのは、常に『お口がぽかん』とあいている子どもです。
この状態は、自然に改善する可能性が低い状態と考えられていて、将来的な歯並びの悪化などに関わると考えられています。
近年では、口の周りの筋力を測定する器具が出ていて、数値化することができ、筋力の低下がある場合には、トレーニングを行うことで筋力を増強していきます。
むし歯の予防だけでなく、お口の機能を守っていくことや、適切な発達を手助けしていくことも、お口の健やかな成長のために必要ですね。