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新型コロナウイルス感染症と舌の痛みや口腔の症状
新型コロナウイルス感染症の第7波の新規感染者数は過去最大になりましたが、ピークは過ぎたようです。
これから第8波にどのように対応していくのか、また、インフルエンザなども流行する季節になるため、体調管理にまだまだ気の抜けない日々が続きそうです。
今回は新型コロナウイルス感染症における、『味覚障害』や『舌の痛み』などの歯科と関連する症状についての論文を紹介したいと思います。
今回紹介する論文は、世界10か国、14,003人の新型コロナウイルス感染症の患者さんの、口の中の症状や歯科に関連する症状を調査したものです。(論文はこちら)
このデータに含まれる患者さんは、全員PCR検査を行い、陽性反応が確認されています。
調査の結果では、新型コロナウイルス感染症を発症した患者さんは、味覚障害(味覚の変化、味覚の低下、味覚の喪失)、口腔乾燥、嗅覚障害が多く発現していることがわかりました。
また、口の中の灼熱感、舌の炎症、舌の上の汚れの(舌苔)の変化や地図状舌(舌のまだら模様)、アフタ性潰瘍(口内炎)なども多く報告されていました。
その他に、帯状疱疹やヘルペス性歯肉口内炎、口腔カンジダ症などのウイルスや真菌(カビの一種)感染症も併発しやすいことがわかりました。
新型コロナウイルス感染症がこれらの感染症を発症させる直接的な要因かどうかはわかっておらず、免疫機能の低下や、新型コロナウイルス感染症の治療の結果として表れている可能性もあります。
このように、新型コロナウイルス感染症では歯科と関連する多くの症状が発現することがわかりました。
一方で、この論文は2020年3月から2022年2月までの世界各国の論文データを収集し、再検討しているので、デルタ株やオミクロン株など、さまざまな系統の株が含まれていることが考えられます。
今回、日本で第7波の主流となったオミクロン株の亜系統のBA.5では、咳やのどの痛み、頭痛、発熱などの症状が多く見られ、従来の新型コロナウイルス感染症と比べて、味覚障害、嗅覚障害の割合が少なくなってきているようです。(データはこちら)
それに伴い、後遺症として味覚障害、嗅覚障害の症状が残ることも少なくなってきているようです。
(データはこちら)
また、舌の痛みや口腔内の灼熱感は、新型コロナウイルス感染症以外の様々な疾患でもおきることがあるため、何の疾患が症状の原因なのか、慎重な鑑別が必要になります。
院長、副院長は舌の痛みに関する著書を出しています。
(本の詳細はこちら)
また、副院長は、味覚障害に関する認定医資格を取得していますので、お悩みの方はご相談ください。