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【院長ブログ】長引くアゴや口の中、舌の痛み いたみ専門医とは
院長が「いたみ専門医」の資格を取りました。
当院では、治療を受けてもなかなか治らない頑固な痛み(慢性痛)に苦しむ患者さんに対する専門的な治療をおこなっています。
「いたみ専門医」について
一般財団法人日本いたみ財団の「いたみ専門医」の資格は、医師と歯科医師に与えられる専門性の高い資格で、現在のところ資格保有者は少数です。
日本いたみ財団のホームページは、こちらから見ることができます。
慢性痛とは?
現在、慢性痛は未解明の部分が多くありますが、わかっていることを出来るだけ易しく解説してみます。
人は誰しも、痛みの場所に原因があると考えています。
しかし、痛みには「本人が感じている部分とは異なる場所に原因」がある場合があります。
近年、「脳の中で起こる痛み」があることがわかってきましたが、慢性痛はこれと関係しています。
さて、人は、「生存に有利なことがらに対して快」を、反対に「生存を脅かされることがらを不快」と感じるようにできています。
すなわち、脳は「痛みを、生存を脅かす」警報と捉えます。 しかし、急性痛(手のケガや手術などの後におこる痛み)は、身体的な警報の役割があり、有益な反応とされています。
そして、ケガなどが治癒すれば痛みはなくなります。
では、慢性痛はどんな役割があるのでしょうか?
今のところ役割は見つからず、人を苦しめているだけなので脳の誤作動?と考えられています。
慢性痛は、よくわかっていませんが、もしかすると、心理(精神)的な面での警報? かもしれません。
慢性痛では、脳の中で次のようことが起きています。
①不快を感じるシステムが過剰に反応する
②快を感じるシステムの反応が悪い
③不快を抑えるシステムの働きが低下している
④元々備わっている痛みをしずめるシステムがよく働かない
などが推測されています。
慢性痛は、まだ、確実な治療法はありませんが以下が効果的です。
①心理療法では認知行動療法
②薬では主に抗うつ薬
③散歩やジョギングなどの軽めの有酸素運動
などがあります。
認知行動療法とは?
認知行動療法は、元々はうつ病の治療法として用いられてきましたが、その他のこころの病気や慢性痛に対しても用いられています。
人はつらい痛みが続くと、
①繰り返し悪い事を考えてしまう
②人生終わりだなどと拡大して考える
③無力感を感じる、 などの思考をしてしまいます。
さらに、置かれている状況から避ける行動をとるようになり、悪循環に陥ってしまうことがあります。
認知行動療法では、「認知」、「行動」、「気分」、「身体の反応」は相互に関係していると捉えます。
慢性痛の例では、それぞれ以下のようなものがあります。
a. 認知では、「痛くて死ぬかもしれない」
b. 行動では、「口やアゴを使わない、人との会食を避ける」
c. 気分では、「不安だ、ゆう鬱になる」
d. 身体の反応では、「疲労感がある、眠れない」
ここで、認知行動療法では、気分と身体の反応を変えることは難しいが、「認知と行動を見直す」ことは可能であると考えます。
そして、上記の問題や生活環境などを一緒に考えて、認知の仕方を見直して、行動を変えて問題を解決して行く方法を見つけていきます。
それにより、自分で痛みに対処できるようにしていきます。
口内やアゴ、顔の周りの慢性痛
歯・舌・顎・顔などの慢性痛には、以下があります。
①非定型歯痛(特発性歯痛)
②舌痛症
③口腔灼熱痛症候群
④慢性の顎関節症
⑤非定型顔面痛(特発性顔面痛)
過去の「院長ブログ」を参照して下さい。
痛みは、身体面と心理社会面の両方からの評価と対応が大切です。
なお、当院では、以上の認知行動療法的アプローチは、自費カウンセリングで行っております。詳しくは、「院長紹介」のページを参照してください。