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【院長ブログ】口の粘膜の痛みについて ー舌痛症/口腔灼熱痛症候群ー 舌がぴりぴり、ひりひりする痛みはありませんか?
舌痛症/口腔灼熱痛症候群とは
口の中の粘膜におおわれている部分、すなわち「舌、口唇、口蓋、頬の内側など」に原因不明の痛みがある状態を指します。
そして、痛みが舌だけの場合は舌痛症と呼び、それ以外の粘膜にも痛みがある場合は口腔灼熱痛症候群と呼びます。
診察・検査・診断
まず、医療面接を行います。主訴(お困りの症状)や現病歴(痛みがいつごろから発生し、現在に至るまでの変化や受けた治療など)、既往歴、家族歴、生活歴などを確認します。そして、「視診、触診、細菌検査、唾液分泌量検査、血液検査、触覚検査、画像検査など」を行います。
その結果、一般的な口内炎や義歯が当たって出来た潰瘍、扁平苔癬(難治性の口内炎のような疾患です)などが見つかる場合があります。また、細菌検査でカンジダ菌が検出されて口腔カンジダ症と診断される場合や、唾液分泌量検査から口腔乾燥症に伴う舌痛と判断される場合もあります。さらに、鉄欠乏性やビタミンB欠乏性の貧血が見つかり、それらによる粘膜の痛みの場合もあります。
しかし、様々な診察と検査をしても、異常が見つからない場合があり、その時に舌痛症や口腔灼熱痛症候群と診断します。
すなわち、舌痛症や口腔灼熱痛症候群は、積極的な診断の方法がなく、鑑別診断によって診断されます。
なお、初期の舌ガンが見つかる場合もありますので、口腔外科を専門とする先生が診察することも必要です。
治療と経過
上述のとおり、診察と検査で痛みの原因が見つかった場合は、原因の除去と対症療法を行います。
例えば、義歯による潰瘍では、義歯の調整と軟骨の使用、口腔カンジダ症では抗真菌薬による除菌、また、口腔乾燥症の場合は、その原因として服用中の薬剤の副作用が考えられることがありますので、薬剤の変更を検討します。
このように原因が見つかる場合は、原因がなくなることで、ほとんど痛みが消失します。
その一方で、舌痛症や口腔灼熱痛症候群は、
明確な原因が分かっていないため、確実な治療法はありません。
しかし、患者さんの中には、悪い病気(舌ガンなど)にかかっているのではないかと強い不安のある方や、痛みによって人と会わないなどの行動が制限されている方もいます。
そこで、現在、認知行動療法などの精神療法や、抗うつ薬や鎮痛補助薬などの薬物療法が行われています。しかし、痛みを完全にゼロにことが難しい場合が多く、日常生活の質の向上や痛みのセルフコントロールを目指すことになります。
- 当院では、上記の検査や舌の痛み、舌ガンなどの診察を行なっていますのでご相談下さい。
- また、必要があれば自費カウンセリングによる対応も実施していますので、院長紹介を参照して下さい。
- 院長、副院長の著書もご参照ください。