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【院長ブログ】非定型歯痛(ひていけいしつう) ー 歯が痛いのに『異常がない』と言われたことはありませんか? ー

歯が痛むのに、歯科医院では『歯に異常はない』、と言われたことはありませんか?

 

タイトルの「非定型歯痛」は、「原因のわかっていない難治性の歯痛」を指します。(※特発性歯痛と呼ばれることもあります。)

 

歯痛(しつう)の種類

はじめに、歯痛の種類を述べます。歯痛は大きく分けると、歯原性歯痛非歯原性歯痛があります。歯原性歯痛は、「虫歯や歯周病、また歯のヒビ」などが原因の歯痛を指します。 その一方で、非歯原性歯痛とは、それ以外に原因があるものを指します。

 

非歯原性歯痛とは?

非歯原性歯痛の中には、咀嚼筋(咬筋や側頭筋など)に原因がある筋筋膜性歯痛(きんきんまくせいしつう)や、副鼻腔炎の一部である上顎洞炎が原因となる上顎洞性歯痛などがあります。 すなわち、歯痛は歯に原因があると限らないので、歯科医師は患者さんの訴えに対して、様々な原因を検討して対応することになります。

 

例えば、患者さんが上の奥歯の痛みを訴えていましたが、診察してもエックス線を撮っても異常が見つからない事があります。 しかし、同じ側の頬の辺りに有る筋肉(咬筋)には、少し硬くて指圧すると痛みの出る部位が見つかりました。 そして、指圧により、患者さんが訴えていた歯痛が生じました。

この場合は、歯痛の原因が筋肉にあるので、歯の治療は必要がなく、押すと痛みの出る部位のマッサージや低周波を当てる、また、鎮痛薬などで改善させることになります。 そして、もし患者さんに睡眠中の歯ぎしりがあればマウスピースの使用や、また、日中の上下の歯の接触癖があれば、行動変容療法などを指導します。これは、筋筋膜性歯痛に該当します。

 

その他の非歯原性歯痛には、三叉神経痛や帯状疱疹性神経痛などによるものや、片頭痛などによる歯痛があります。

 

非定型歯痛とは?

そして、患者さんも歯科医師も、最も困る歯痛が、はじめに述べた非定型歯痛です。現在のところ原因が不明のため、原因を除去する治療法がありません。

患者さんは、ジンジン、ジワジワなどと表現する事が多く、強い痛みで、一般的な鎮痛薬(ロキソニンやボルタレン等)や局所麻酔が効きません。 そして、痛む歯の部位が移動したり、両側に及ぶこともありますが、食事中には痛みが消える傾向があります。

治療は、薬物療法(主に抗うつ薬)と認知行動療法で対応しますが、痛みの完全な消失は難しく、痛みのセルフコントロールや日常生活の質の向上を患者さんと一緒に目指します。

★当院では、こうした患者さんに対して自費カウンセリングによる対応も提供しております。「院長紹介」をご欄ください。

難治性の痛みに関する院長の著作物はこちらをご覧ください。

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